遺言・相続
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相続手続きの流れ
被相続人(相続される方=亡くなった方)の死亡後にしなければならない手続きは、大きく分けて2種類あります。
1つは、被相続人に関する手続き、もう1つは、遺産相続に関する手続き、です。
被相続人(亡くなった方)に関する手続き
役所関係の事務手続きなどで、期限が決まっています。主なものを記します。
- 死亡届の提出 7日以内
- 健康保険証の返還 14日以内(国民健康保険の場合)
- 未支給の年金の請求 10日以内(国民年金は14日以内)
- 所得税の準確定申告 4か月以内
遺産相続に関する手続き
大切な方を亡くされて、遺産の話などしたくないかもしれませんが、早めに動かなければより一層ややこしいことになってしまいます。
以下に遺産相続に関する手続きの手順を記しますので、参考にしてください。
①遺言書の有無の確認・検認手続き
被相続人が遺言書を残してお亡くなりになっている場合は、遺言書の内容に従って遺産を処理します。
そのために、まず遺言書があるかどうかを確認します。
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。
多いのは自筆証書遺言と公正証書遺言ですが、自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所に検認の申し立てをしなければなりません。
②相続人の確定
相続人の範囲は民法で定められています。
これを法定相続人といい、特別な事情や遺言がなければ、法定相続人が相続します。
法定相続人には順位があり、上位の者がいない場合に下位の者が相続人になれます。
- 第1順位 子
- 第2順位 直系尊属(父母・祖父母等)
- 第3順位 兄弟姉妹
例えば、被相続人に子がいれば、被相続人の父母や兄弟姉妹は相続人にはなれません。
また、配偶者は常に相続人になります。
このように相続人を確定するのですが、そのためには戸籍を入手し、相続関係図を作成する必要があります。
法定相続分について
相続人が複数いる場合、だれがどれだけ相続するかを決めなければなりません。
その割合を相続分といいます。
被相続人が遺言で相続分を決めていた場合、指定相続分といいます。
遺言がない場合の相続分は、民法で定められており、法定相続分といいます。
各相続人の法定相続分は、次の通りです。
- 相続人が配偶者と子の場合 配偶者1/2 子1/2 子が複数いる場合は均等に分ける
- 相続人が配偶者と直系尊属の場合 配偶者2/3 直系尊属1/3 直系尊属が複数いる場合は均等に分ける
- 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4 兄弟姉妹が複数いる場合は均等に分ける
③相続財産の調査(遺産の確定)
相続財産を調査し、遺産を確定します。
相続財産はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金や保証債務など)も含まれる場合もあります。
場合によっては限定承認や相続放棄をした方がよい場合もあるでしょう。
また、相続人が複数いる場合には、相続財産を分割することになるため、きちんと相続財産の調査をしないともめるもとになります。
遺産分割をきちんと行うために、相続財産目録を作成します。
④相続方法の決定
③相続財産の調査のところでも少し書きましたが、相続財産にはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産もあります。
そこで、次の3つの相続方法の中から選ぶことになります。
- 単純承認 プラスの財産もマイナスの財産もすべて承継する
- 限定承認 プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を弁済する
- 相続放棄 プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しない
なお、限定承認と相続放棄は、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があり、この3ヶ月を超えると単純承認したことになってしまいます。
この3ヶ月のことを熟慮期間といい、単純承認、限定承認、相続放棄のどれにするか熟慮するための期間となっています。
相続人が複数いる場合、限定承認は相続人全員でしなければなりません。
⑤遺産分割協議
遺産を分割するにはいくつかの方法があります。
① 遺言に従って分割する方法
被相続人が遺言書を残してある場合、それに従って分割する方法です。
② 遺産分割協議によって分割する方法
相続人全員で協議し、分割する方法です。
作成した相続財産目録に基づいて遺産を分割します。
相続人全員が話し合うので、法定相続分とは異なる割合での分割も可能です。
協議の結果決まった内容を遺産分割協議書にします。
③ 調停や審判による分割
遺産分割協議が決裂した場合は、家庭裁判所の調停や審判によって遺産分割をします。
⑥遺産分割協議書
遺産分割協議によって決まった内容を遺産分割協議書にまとめます。
この遺産分割協議書があれば、後日協議内容についてのトラブルの発生を防ぐことができます。
遺産分割協議書は、相続人全員が署名・押印して作成します。
そうすることによって、相続人全員が協議したという証拠になります。
押印は実印になります。また、後日のトラブルを防ぐため、記名ではなく、署名にすべきです。
遺産分割協議書は、不動産の名義変更や預金の名義変更、相続税の申告などに必要です。
⑦相続財産の名義変更
① 不動産の名義変更
不動産については、変更登記を行って名義を変更します。
この変更登記を相続登記といいます。
相続登記の申請には、
- 登記申請書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・原戸籍謄本、
- 相続人の戸籍謄本・住民票
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
などが必要です。
② 預金の名義変更
- 払戻請求書
- 預貯金通帳
- 届出印
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・原戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本・住民票
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
などが必要です。
ただし、金融機関によって必要書類が異なりますので、各金融機関に確認してください。
③ 自動車の名義変更
- 申請書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・原戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 車検証
- 保管場所証明書
- 自動車税申告書
などが必要です。
⑧相続税の申告手続き
相続税の申告の期限は、相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内です。
また、遺産を分割協議で分割した場合、添付書類として遺産分割協議書を添付しなければなりませんので、早めに作成することが必要です。
相続税には基礎控除があり、5000万円+1000万円×法定相続人の数を控除できるので、実際に相続税を納めるのは全体の5%ほどの方だけです。(平成27年より、3000万円+600万円×法定相続人の数になります。)
遺言について
遺言の基礎知識
自分の死後、自分の財産(遺産)をどのように処分したいのか、などを言い残すことが遺言です。
しかし、遺言が法律上の効力を生じるには、法律上の方式や手続きに従わなければなりません。
遺言の方式には、普通方式の遺言と特別方式の遺言があります。
特別方式の遺言とは、危険な事態が迫っているなど、特殊な状況下での例外的な方式ですので、ここでは普通法式の遺言について記します。
まず、遺言は遺言書を作らないと法律上の効力は生じません。
そのうえで、普通方式の遺言には次の3種類があります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
自筆証書遺言
自分で作成することができる遺言書です。
自筆で全文・日付・署名を書き、押印します。
簡単で費用もかかりません。
ただし、自筆証書遺言には問題も多く、専門家としてはおすすめしません。
- 方式に不備があり、遺言が無効となることが多いです。
- 自筆で書かなければなりませんので、代筆は不可ですし、ワープロ打ちもダメです。
- 日付についても「7月吉日」といった書き方は無効となります。
- 遺言書の保管面での問題
遺言書を紛失したり、遺言書の内容が自分にとって不利な相続人が遺言書を隠してしまうということも起こり得ます。
- 家庭裁判所の検認が必要
自筆証書遺言は家庭裁判所の検認手続きが必要です。
遺言書が封筒に入っている場合には、その開封も家庭裁判所で行います。
検認手続きをしなかったからといってその遺言書が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料を科せられます。
検認の申し立てには、申立書、申立人・相続人全員の戸籍謄本、遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本などが必要です。
また、印紙代等の費用もかかりますので、家庭裁判所に確認してください。
遺言書があったがためにかえってトラブルとなり、「相続」が「争続」となるケースもあります。
書き方や内容について、専門家のアドバイスを受けることを考えられてはいかがでしょう。
公正証書遺言
公証役場で遺言内容を口述し、それを公証人が公正証書にする遺言方式です。
その際、2名以上の証人の立ち会いが必要です。
なお、この証人には次の人はなれません。
- 未成年者
- 推定相続人、受遺者、それらの配偶者と直系血族
- 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人
公証人は法律のプロですので、方式に反するので遺言書が無効になる、といったことは起こりません。
また、公証役場で遺言書の原本を保管してくれるので紛失、変造といった危険もありません。
遺言の執行時に家庭裁判所の検認を受ける必要もありません。
病気などで字が書けない方も作成することができます。
デメリットとしては、
- 証人が必要なので、内容を漏らさない人を2名以上探すこと
- 費用がかかること
があげられます。
公証役場にいきなり行って作成するのではなく、事前の準備が必要です。
専門家の助力を受けられてはいかがでしょう。
秘密証書遺言
遺言書を自分で作成し、証人2名と一緒に公証役場へ行き、公証人に遺言書の存在を確認してもらい、遺言書の保管は自分でするというものです。
遺言書の中身を自分以外の誰にも知られることがない(公証人も中身は確認しません)ので完全に秘密にできますが、自分で保管するため紛失の可能性があり、方式の不備で遺言書が無効になる可能性もあります。
また、費用もかかるので利用する方は少ないです。
遺言書を作成するための準備
遺言書は、自分の死後、自分の財産(遺産)をどのように処分したいのかなどを書き残すものですが、きちんとした中身でないと残された相続人たちをかえって混乱させたり、争いを生じて「相続」ならぬ「争族」にしてしまいかねません。
そこで遺言書を作成する前にしっかり準備をしましょう。
①財産(遺産)の整理
財産(遺産)を整理し、なにがあるのかを把握します。
相続財産目録を作成しましょう。
遺言書から重要な財産が抜け落ちていると相続人同士で争いがおきます。
また、抜けている財産がないか相続人たちが探す手間が省けますし、だれに何を相続させるのかを考えやすくなります。
この相続財産目録には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金など)も記載しておきます。
そうすることで、相続人は単純承認するのか、限定承認するのか、相続放棄するのかの判断がしやすくなります。
②内容の決定
だれに何を相続させるかを決定します。
ここで注意していただきたいのは、遺言書の内容が絶対守られるというわけではない、ということです。
相続人が全員で遺産分割協議を行い、遺言書の内容と異なる分割内容にすることもあります。
遺言者(亡くなった方)の作った財産ですので、その意思は重視されますが、残された相続人(生きている方)の意思も重視されるからです。
また、法定相続人には遺留分が存在します。
直系尊属(父母・祖父母)だけが相続人の場合は遺産の1/3、それ以外の場合は1/2が遺留分となります。
なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。
全財産を他人に遺贈するとした場合、残された家族は困ってしまいます。
そこで、例えば配偶者Aと子Bが残された場合、AとBは遺産の1/2を遺留分として請求することができます。
すなわち、遺留分を侵害するような遺言書を書くともめる可能性があるわけです。
なお、遺留分減殺請求権は、遺留分権者が相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年、または相続の開始の時から10年で消滅しますので、注意が必要です。
③遺言執行者を選任する
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために手続きを行う人です。
こういった手続きは相続人が行うものですが、手間がかかったりするので、遺言書で遺言執行者を指定しておくとよいでしょう。
また、遺言書で遺言執行者が指定されてなくても、相続人などの利害関係者は遺言執行者選任の申し立てができます。
④公正証書遺言の原案を作成する
公正証書遺言を作成するには、公証役場で公証人に遺言内容を後述すればよいのですが、きちんとした内容にするには今までの過程で決めたことを原案としてまとめておくとよいでしょう。
遺言書作成が必要な方
以下に当てはまる方は、遺言書の作成を検討する必要があると思います。
後に残された方々がもめることのありませんように。
- 不動産をお持ちの方
- 結婚しているが、子供はいないという方
- 子供が二人以上いる方
- 事業をしている方、会社経営者
- 相続人がいない方
- 内縁関係にある方
- 2回以上結婚し、違う相手との間に子供のいる方